ハッブル宇宙望遠鏡の後継機となる大型の宇宙望遠鏡「ジェームズ・ウェッブ」が今月下旬にも打ち上げられる。鏡の直径はハッブルの2・4メートルの倍以上の6・5メートル。宇宙誕生からまだ3億年ほどしか経っていない初期の段階に生まれた星や銀河を観測できると期待される。ただ、開発は遅延を繰り返して費用は1兆円にまで膨らんだ。あまりの高額に、打ち上げ前から費用対効果が問われている。
米航空宇宙局(NASA)の計画では、ジェームズ・ウェッブの鏡は直径がハッブルの2・7倍、面積は約6倍。カメラの進歩もあり、ハッブルが撮影できる星の100分の1の明るさの星を撮れる。ハッブルが打ち上げられた1990年から30年で、「感度」は100倍になる計算だ。
一番の狙いは、宇宙で最も早く輝き始めた「ファーストスター」だ。宇宙最初の星は、宇宙が138億年前に誕生し、その約2億年後に生まれたとされる。136億光年向こうにある計算で、128億光年が限界のハッブルでは難しい。ジェームズ・ウェッブは135億光年先まで見える予定で、かなり迫れる。
こうしたごく初期の宇宙から来た光は、宇宙の膨張によって引き延ばされ、波長が長くなっている。このため、ジェームズ・ウェッブは可視光より波長が長い赤外線を観測するよう設計された。鏡のめっきも、赤外線をよく反射する金めっきが施された。
極めて遠い宇宙だけでなく、赤外線でなら、可視光だと途中で吸収されてしまうガスやちりの向こうの星も捉えられそうだ。新しい星の周りで、ガスの中から惑星が生まれる姿を撮影できるかも知れない。
ただ、赤外線の観測では熱が大敵となる。望遠鏡が熱を持つと自らが赤外線を出してしまい、これがノイズになる。望遠鏡をマイナス200度ほどに冷やし続けないといけないため、直射日光を避けるテニスコートほどの大きさの日よけを広げて張るほか、地球からの熱を受けないよう、月の軌道の4倍の150万キロ向こうに設置される。
観測に携わる国立天文台の安…
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